巨大木質パビリオン|第93回五月祭特設ページ


お知らせ

稲山正弘(木質材料学研究室教授)&設計者&棟梁による木質パビリオンのメイキング映像同時視聴会配信開催決定!!

9月20日(日)13時~ YoutubeLiveにて
配信のURLはこちらから!

お知らせ

巨大木質パビリオンのメイキング映像公開!

『ほんだまりん』と『「卍」組』ができるまでを、部材加工から建方当日まで密着したメイキング映像です。ぜひご覧ください!

2020年五月祭製作物テーマ:

「高知県産四万十ヒノキ角材と幅はぎ面材を使用した立体架構による休憩スペース」

作品紹介

『ほんだまりん』

設計:本多 航(修士二年)
棟梁:川上 朔(修士一年)

通常の建築では柱や梁として使われる角材であるが、あえて積み上げることにより、球体というこれまで成し得なかった表現が可能となる。75mm角材を直交させながら積層させることで細部に無機的な印象を内包させつつも、なだらかな曲面を描くことで全体としては有機的なかわいらしさを醸し出す。内部は外観から受ける印象とは打って変わり、いつまでも佇みたくなる不思議な空間となる。角材を微妙にずらし込むことによって生まれる隙間、そして天頂の開口部から差し込む日差しが、四万十産ヒノキの美しい色合いと相まってやわらかな空間を生み出している。

構造部材を少しずつ内側にずらし込みながら内部空間を確保する「持ち送り構造」を採用。縦同士に並んだ部材をずらす長さを断面寸法と同じ75mmとすることにより、人の手のみでも精度の良い製作が可能となる。貫・仕口は存在せず、角材を積層させているだけなので、複雑な加工を施すことなく、ビス接合のみで施工可能である。1300本という膨大な部材数を有するため、あらかじめ51個に分割されたユニットを製作し、1日のみで組み立て可能とした。(本多航)

作品紹介

「卍」組

設計:椿田竜也(社会人修士二年)
棟梁:中山翔太(修士二年)

高知県に移設が予定されている今回のパビリオン。四国八十八ヶ所霊場会、寺院を表す地図記号「卍」。「卍」が変化したという説のある「万」という字が入る四「万」十ヒノキを使用しているということで、コンセプトを「卍」とした。高知県四万十ヒノキ75㎜角材を「卍」組にすることで、4本がそれぞれ支え合うレシプロカル構造として、その「卍」を連続させることで5.4m×5.4mの無柱空間としている。

組み方を変えた3層の「卍」格子をそれぞれ違う高さで組柱に固定している。「卍」組を支えるのは、75㎜角材を4本組み合わせた組柱。75㎜透かした組柱に、地組した「卍」格子の端部を8か所差し込み、1ヶ所あたり2人計16人で神輿のように持ち上げて施工した。また、組柱に頭つなぎの75㎜角材を差し込んで水平力に抵抗するラーメン架構ともしている。(椿田竜也)

木質パビリオンとは ~企画コンセプト~

木質材料学研究室では、東大の学園祭である五月祭において、木質仮設構造物を毎年展示しています。作品は「木質材料の特性を活かした新しい表現」と「自分たちの手で制作可能なシステム」というコンセプトのもと、部材の加工から建て方まですべてを学生の手により行います。2004年から続くこの取り組みは、木質材料の新たな可能性をアピールすると同時に、木材及び木質材料を扱う学生の重要な教育・経験の場となっています。

木質材料学研究室とは

木材は再生可能で環境に対する負荷が少ない生物材料であり、また、木材を利用することは二酸化炭素の貯蔵につながり地球温暖化防止にも役立ちます。木質材料学研究室では、主に建築用構造材として木材を最大限に有効利用することを目指し、基礎から応用までの一連の研究を進めています。

基礎の部分では主に木材の物理的な性能を対象にしています。木材は自然材料のため、鉄やコンクリートと違って、人がコントロールして品質を均一に出来ません。建築用構造材として取り扱うためには、無垢材、エンジニアードウッドに関わらず、変形性能や強度特性を把握しておくことがとても重要です。最近では、広葉樹材のめり込み性能、集成材のせん断強度、CLTパネルの面内変形性能などについて、実験的に性能を調べています。

応用としては、木質構造:木質構造物の設計やその構造安全性、耐久性向上のための研究が大きなテーマです。正しい設計を行えば、木造建築は十分な耐震性能、耐火性能が得られることが分かっています。その体系化に向けた実験的検討やコンピューターによるシミュレーション、木材利用を促進させるような新たな構法開発、伝統的な仕口・継手の力学的性能の定式化などを行っています。

協賛
高知県木材協会
海ギャラChillOut実行委員会
シネジック(株)
三井ホーム(株)
東京合板工業組合