研究テーマresearch theme
農学共同研究員
伊藤啓富
木造の斜め嵌合接合の強度特性に関する研究: 中大規模木造建築で大スパンの屋根を架けるときは住宅用の規格材を使ったトラスや方杖がコスト的にもデザイン的にも優れている。これらは斜めの接合部が不可欠だが、木材同士を斜めに組んだ嵌合接合の強度や剛性についての実験研究が十分でないのが現状である。斜め接合部の特に木材の繊維斜め方向のせん断について実験研究を行っている。
村田龍馬
鋼板挿入CLTドリフトピン二面せん断接合部の剛性評価: 弾性床上の梁理論から計算される初期剛性と比べ、実験結果による初期剛性は低くなる傾向が複数の既往研究で確認されている。この原因を解明し、より実際に近い理論値の計算方法を提示することを研究目的とする。
博士課程
河野幸喜(D2)
大型木質材料の強度推定手法に関する研究: 国産材を用いた木質材料の中高層建築物等への利用拡大に向けて、大型の木質材料の製造及び性能評価に係る技術開発が求められている。本研究では、特に樹種やエレメントの種類といった原料特性と、積層数や層構成といった製造因子に注目し、大型木質材料の製造及び接着等性能評価に関する研究を行う。
高橋新一(D2)
旧耐震木造住宅の大地震時倒壊メカニズムの解明と合理的耐震補強に関する研究:昭和56年以前に建設された木造住宅の多くが大地震時に倒壊を起こす。この住宅の倒壊プロセスは明確になっていない。住宅の倒壊現象を起こさず人命を守る補強構法について研究する。
練子祐介(D2)
三宅朗彦(D2)
中高層木造建築の実現に資する木質ラーメン架構の開発研究: 近年、低炭素社会の実現、国内の林産資源の有効活用等を背景に、これまでに木材が利用されることが少なかった非住宅や中高層建築物での木材利用が期待されている。本研究では、中高層建築物において木造建築物を実現させるために、耐震性はもちろんのこと、意匠性、施工性、耐火処理の納まり等に総合的に配慮した木造ラーメン架構システムについて考案し、その耐震性能を検証することを目的とする。
西野祐介(D1)
木材の支圧応力伝達とビス接合を用いたモーメント抵抗継手の開発:木材木口の支圧応力とビスの斜め打ち接合を用いた木材繊維方向の力学特性と摩擦に依存した高剛性のモーメント抵抗継手の開発を行う。加工の簡素化と鋼材量の低減を行い、角度付き継手を含む汎用的評価法の提案を目指す。
海瀬啓(D1)
部材の曲げ変形を伴うめり込み特性に関する研究:伝統木造建築物は外力に対する抵抗要素は接合部でのめり込み抵抗が主である。実際の伝統木造建築物においては大径材が使用されており仕口内部での材の曲げ変形が無視出来ないほどの影響を与えている可能性がある。本研究では嵌合接合部においてめり込み反力によって生じる材の曲げ変形がめり込み量に及ぼす影響を定量的に評価し、接合部性能における影響度を明らかにすることを目的とする。
高橋彰(D1)
木造の賃貸住宅(集合住宅)の高断熱化の意義と普及の仕組みの検討:賃貸住宅(集合住宅)の高断熱化が事業的に経済合理性を有するものであることを立証するとともに、普及の仕組みを検討する。モデル住戸をもとに、断熱等級4~7の建築費と冷暖房光熱費の差額から経済的なベストバランスを検討するともに、経済的なメリットをオーナーと賃借人間でシェアする仕組みを検討する。併せて、賃貸住宅居住層と注文住宅検討層に対してアンケート調査を行いし、両者間の住宅性能に関する認知レベルの違い、賃貸住宅居住層がメリットを知る従前・従後の家賃のWTP(支払い意欲)を調査し、高断熱賃貸住宅普及促進策に係る消費者への啓蒙の必要性を検討する。
陳九璋(D1)
継ぎ手と楔を用いた柱貫仕口部に関する研究:本研究は、伝統木造の解体材を対象とし、割れ、腐朽などの経年劣化による木材表面・内部欠損状況は非破壊検査装置を用いて定量的に測定され、欠損した古材による柱-貫仕口部のモーメント抵抗性能の予測を目指している。
修士課程
河尻出(M2)
西峰秀一(M2)
中高層木造建築のコストに関わる研究:本研究は、流通材による木造建築のコストと鉄筋コンクリート造などの既存の建築コスト並びにCLTなどの新種の木造建築コストを比較検討する。とりわけ、木造がコスト的に不利と言われている中高層建築において比較検討する。
林直樹(M2)
告示仕様耐力壁において入隅耐力壁に関する研究: 在来軸組工法の壁倍率などを定めている建設省告示1100号では明確に書かれていない点が多くある。本研究ではこの運用ルールなどの記載がない告示仕様耐力壁の中で大壁構造用合板における入隅部分における検証を行い、入隅での施工における壁倍率等への影響について研究を行う。
林茉美子(M2)
木鋼複合材の温湿度変化に対する挙動に関する研究: 中大規模木造建築の需要が高まっていることに伴い、木材と鋼材が共に応力を負担する部材である木鋼複合材を利用することが考えられる。この際、温湿度の変化に晒される環境下では、木材と鋼材の膨潤(膨張)・収縮率に差があることにより、単一部材では問題とならなかった構造的問題点が現れる可能性がある。実験や解析によって木鋼複合材の温湿度変化に対する挙動を詳細に知ることで、木鋼複合材を建築物に用いる際の設計に活用できるようになることを目的とする。
森桜士(M2)
山田達彦(M2)
MDFを用いた新たな接合要素の開発: 木材繊維を圧締して作製する木質系面材料であるMDFは、密度が高いことや面内方向で力学的にほぼ等方性であるといった特徴がある。また、MDFは従来品よりも高密度化、二次接着することで厚みを大きくすることなどが可能であり、より自由な構造利用が可能だと考えられる。要素試験によりMDFの力学的特性を把握したうえで、MDFを用いた高性能かつ金物使用量が少なく環境負荷の小さい接合部を開発し、その性能を定量的に把握することを目的とする。
白羽(M2)
接着剤の塗布量、クランプ力の大きさ、力を加える時間がCLTの性能に及ぼす影響: 木造中高層建築物の発展に伴い、CLTの性能について更なる研究が必要となっている。 CLT の積層方向のおかげで、木材の異方性効果がある程度回避され、全体的な性能が向上する。 CLT の機械的特性は、接着強度と切り離すことができない。本研究では、接着剤の塗布量、クランプ力の大きさ、力を加える時間などのいくつかの指標から始めて、接着剤がCLTの接着強度に及ぼす影響に、結果を検証する。さまざまな条件下で、接着強度のパラメータを調査し、それらの間の線形関係を調査する。接着剤の値段は高いので、正確な量制御をして、コストを抑えながら、CLTの活用を進める。
秋澤周(M1)
古賀大誠(M1)
24mスパン木造平行弦トラスの開発研究:中大規模木造建築の需要の高まりに伴い、大スパンを飛ばせる木造架構の開発が求められている。トラス構造は材に曲げがかからないため比較的小径の材で大スパンを飛ばすことが可能であり、木造でも古くから用いられてきた構造形式である。本研究では束材に面材を用いた24mスパンの木造平行弦トラスの開発の開発を目的としている。
瀬田健介(M1)
牧口洋大(M1)
山口暁帆(M1)
学士課程
鎌田頼人(B4)
中村匠人(B4)
千鳥型接合における列間隔と耐力についての研究:千鳥型接合における列間隔と耐力についての研究:接合部は構造全体の強度を決定する因子の一つであり、接合具の配置の種類には縦横に揃える格子型と互い違いに配置する千鳥型が存在する。多数の接合具を千鳥型に配置した列間隔と許容耐力の関係について、木質構造設計規準では「列間隔yが接合具の最短距離xの1/4 より小さいときには、この2列は1列と考える」とある。ただ、この規準を満たしていても接合具の最短距離が極めて小さい場合は許容耐力が過大評価される場合がある。そこで千鳥型配列の接合部の引張試験を行い、規準の妥当性を検証する。